Columnコラム

2020.01.06. | 環境問題

マイバックは本当にエコ? 押さえておきたいポイント

マイバックは本当にエコ? 押さえておきたいポイント

エコロジカルな未来を象徴するマイバッグ

 

店で会計を済ませた後、マイバッグを取り出し、購入した商品を詰める。こうした光景は、すでに見慣れたものになりつつある。かつて生態学という学問領域、あるいは生態系を意味するにすぎなかった「エコロジー」という言葉は、いまでは自然との共生の代名詞として生活に広く浸透した。私たちが今日、マイバッグを「エコバッグ」と呼ぶことからも、それは見てとれる。

レジ袋がプラスチック消費の負の象徴なら、マイバッグは来るべきエコロジカルな未来の象徴とされてきた、といえるかもしれない。使い捨てからリユースへ。こうした流れは、今後加速することはあっても、後退することはないだろう。

マイバッグに購入した商品を詰める光景は、すでに見慣れたものになりつつある

 

マイバッグならではの魅力と懸念

 

このように急速に普及しているマイバッグだが、なかには慎重になるべきとの見方もある。
マイバッグが万引き増加の温床になるのではないかという指摘もそのひとつだ。レジ袋と異なり、マイバッグには、客の持参品と購入前の商品との区別がつきにくいというデメリットがある。そのため、店によっては、購入前と後で買い物カゴの色を分け、カゴの商品が購入前か否かを見分けやすくしている事例もある。そうした事情もあってか、2017年にあるNPOが全国の小売業573社を対象に行った調査では、57.9%が「マイバッグについては奨励も、お断りもしていない」と回答している。

その一方で、もちろんマイバッグならではの魅力もある。最近では、かわいらしいデザインのものや、ハイブランドが手がけたものなど、ファッションアイテムとして価値を持つ製品も少なくない。
さらに、レジ袋にはないプラスアルファの機能性を備えたものもある。例えば、リュックサック型のマイバッグや、保冷・保温効果のあるマイバッグ。使用前後の展開や折りたたみのストレスを解消したマイバッグなど、買い物をより楽しく、便利にしてくれる製品が続々と登場している。

レジ袋にはないプラスアルファの機能性を備えたマイバッグ

 

そのマイバッグは本当にエコか?

 

2018年2月にデンマークの環境保護庁が、食料用ショッピングバッグ(grocery carrier bags)に関するライフサイクルアセスメント(環境影響評価)を発表した。それによると、あらゆる環境への影響を考えた場合、ポリエステル製のバッグなら、少なくとも35回の再利用が必要だという。漂白された紙袋の場合は43回、オーガニックコットン製の場合は、実に20,000回再利用しなければならない。たとえ「エコバッグ」と銘打っていても、すぐに劣化してしまい、必要な回数の使用に耐えないなら、それはエコバッグとは言えないということになる。

逆をいえば、レジ袋であっても丈夫でリユース可能なら、エコバッグに劣らず、あるいはそれ以上にエコたりうるかもれない。
レジ袋は年々薄肉化の傾向にあり、遡ると2008年2月末時点で、1995年と比べすでに28%も薄くなっている(経済産業省HP「容器包装使用合理化調査」より)。そうすることで、製造に必要な資源の量を減らし、1枚あたりのコストを抑えられるわけだが、代わりに袋の強度が犠牲になってしまっている。
もし、レジ袋に今より厚みをもたせれば、ショッピングバッグとして再利用できる回数が増え、ゴミ袋として活用しても破れる心配はないはずだ。

また、有識者の中にはこんな声もある。ナイロンやポリエステルが主流のマイバッグよりも、ポリエチレンを素材とするレジ袋の方が、よほど有効な資源利用といえるのではないかというのだ。

マイバッグは本当にエコロジーか。ひとつ言えるのは、マイバッグを購入する、あるいは所有するだけでは、エコロジーとは言えないということだ。そこには、「一度使えばそれでよし」という、あの使い捨ての気楽さはない。

ゴミ袋として活用することも一つの方法ではないだろうか

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