Columnコラム
2019.12.25. | 環境問題
レジ袋有料化義務づけへ その時世界は、小売店は
レジ袋有料化義務づけへ その時世界は、小売店は
世界で進む「脱使い捨てプラスチック」
2018年6月、カナダで行われたG7において採択された「海洋プラスチック憲章」。
そこには、各国が産業界と協力し、「2030年までに、100%のプラスチックがリユース、リサイクル、また他に有効な選択肢がない場合は回収可能」になることを目指すといった内容が盛り込まれた。
日本は、「市民生活や産業への影響を慎重に調査・検討する必要がある」として、アメリカとともにその署名を拒み物議を醸した。
国際的に、プラスチック削減を推進する最大の理由はいうまでもなく環境問題だ。
2018年6月に、タイで死んだゴンドウクジラの胃袋から重さ8キロのプラスチック袋が見つかったことは記憶に新しい。
海を漂う5mm以下のプラスチック、いわゆるマイクロプラスチックを海洋生物、鳥などが摂取し、さらにそれを人間が取り込むことで、生態系や身体に影響が出ることも懸念されている。
日本でクローズアップされる「レジ袋有料化」
そうした中、日本では2018年10月に環境省が、使い捨てプラスチック削減の素案を発表。
2030年までに、ペットボトルやレジ袋、食品容器といった使い捨てプラスチック排出量の25%削減を目標に、2020年以降の義務化を目指すとした。
中でも各メディアに大きく取り上げられたのが、小売店で配布されるレジ袋の有料化についてだ。日本国内での使用量が年間300億枚とも450億枚ともいわれるレジ袋。
これまでは、各小売店の自主性に任されていた有料化が義務づけられることになる。レジ袋1枚あたり数円になる見込みで、配布量の3割を占めるコンビニも対象になるという。
「レジ袋有料化」は小売店にどう影響する?
日本においては、1970年代に爆発的に普及したレジ袋。現在主流のポリエチレン(高密度ポリエチレン)製レジ袋は、薄いながらも強度があり、小売店で重宝されてきた。業種によって、取っ手付きや手穴抜きなど異なる形状のレジ袋が配布されている。
有料化にあたっては、そうした素材や形状に関わらず、小売店で購入した商品を入れる袋であれば軒並み対象となるのか、検討する必要がある。
また小売店によっては次のようなケースも考えられる。例えば、百貨店で商品を購入すると、レジ袋で商品を包んだあとに、さらに紙袋に入れてくれることがある。この場合、中のレジ袋は有料になり、紙袋は無料になるのかいった事態だ。
海外に目を向けると、台湾では無料配布禁止の範囲を分野で指定し、有料販売するレジ袋には「繰り返し使えること」および「厚さ(2018年廃止)」の制限が課せられている。日本ではどうか。小売店への実際の影響はまだ不透明だ。
「レジ袋」だけではなく
2017年、ある市民団体が荒川の流域でおこなった調査では、回収された散乱ゴミ約21万個のうち、最も多かったのがペットボトル、次いで食品容器などとの結果が出ている。レジ袋は9位だった。
レジ袋有料化は、あくまで数あるプラスチック削減の取り組みの中の一つだ。エコバッグを片手に、ペットボトルをポイ捨てするようでは元も子もない。私たちとプラスチックの関係のリデザインこそがいま求められている。