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2020.01.06. | 環境問題

検証。私たちは1年で一体何枚のレジ袋を使っているのか?

検証。私たちは1年で一体何枚のレジ袋を使っているのか?

レジ袋の消費量 年300億枚は本当か?

 

一般に、日本国内で消費されるレジ袋の量は年間約300億枚といわれることが多い。しかし、なかには450億枚と報じるメディアもある。なぜだろうか。どうやら、国内における年間のレジ袋消費量については正確な統計データがないのが実情のようだ。

そもそも、300億枚という数字はどこから出てきたのか?この数値は、日本ポリオレフィンフィルム工業組合が、2002年のレジ袋消費量(国内出荷量+輸入量)をもとに割り出したものといわれている。
ここで注意したいのは、日本ポリオレフィンフィルム工業組合がこの数値を計算した時、組合に加盟していない企業の出荷量や、手穴抜きなど一部の袋は数に含まれていなかったとされることだ。
また、海外から輸入しているレジ袋については正確なデータがない。そのため、ゴミ袋なども含む「ポリエチレン袋の輸入量」の1/2を「レジ袋の輸入量」として計算する暫定的な処理がなされている。

2018年現在、日本のレジ袋の多くは海外からの輸入品だ

 

2017年のレジ袋消費量は…

 

では、仮に同様の方法で、2017年における国内のレジ袋消費量を試算してみるとどうなるか。

ポリオレフィンフィル工業組合のデータによると、2017年の国内企業のレジ袋出荷量は約8.4万トン。輸入レジ袋の量は、先にならい『ポリエチレン袋』の総量56万トンの半分とすると、およそ28万トンになり、合計は約36万トン。さらにこれを、レジ袋の重さ(参考までに2002年当時と同じLLサイズ9.9g)で割ると消費枚数がでる。約360億枚だ。

しかし、これでは正確な数値とは言い難い。前出のとおり、ここには、ポリオレフィンフィル非加盟企業や一部の例外とされる袋は含まれていないはずだ。また、2002年当時と比べ、より薄く、より軽いレジ袋が主流になっていることや、サイズのバリエーションも考慮する必要がある。どちらにせよ、輸入レジ袋の量にそもそも曖昧さが残っている。

大量のレジ袋が消費されているのは紛れもない事実だ。ただし、その多いといわれている消費量に数値的な揺らぎがあることもまた事実としておさえておきたい。

『ポリエチレン袋』の輸入総量は56万トン(2017年)。このうちレジ袋が占める割合は不透明だ

 

なぜこれほどレジ袋が消費されるのか

 

ところで、これだけレジ袋が消費されてきた背景のひとつには、購入したものを入れるという用途を越えて、レジ袋が社会で多くのロールを担ってきたことがありそうだ。ゴミ袋としての再利用はもちろん、レジ袋にはブランドの広告媒体として機能してきた側面もあるし、中身が透けて見えることで、万引きの抑止などにも一役かってきた。

例えば一般的なエコバッグでは、こうしたレジ袋の役割をすべて担うことは難しいだろう。エコバッグで補えないものは、また別の何かで代替しなければならない。あるいは「本当に必要か」という問いのもと、私たちの社会生活の方法を見直す必要が出てくるかもしれない。 第3回以降では、そのあたりについて詳しく考察していく予定だ。

レジ袋がなくなって困るのは、「購入した商品を詰める時」だけではないはずだ

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